難病治療
蓄膿症
蓄膿症とは
蓄膿症とは、慢性副鼻腔炎のことです。鼻漏や鼻づまりなど副鼻腔の慢性的な炎症症状が12週間以上消失しない状態です。風邪に関連した急性副鼻腔炎から続発することが多い疾患です。
好酸球性副鼻腔炎では問診で気管支喘息の有無を確認することが重要です。鼻鏡や内視鏡を用いて鼻腔を観察します。そして鼻汁の量や質、粘膜の腫れ具合、鼻ポリープの有無を確認します。そしてレントゲン、CT,MRIといった画像検査を行います。
ガンや乳頭腫など腫瘍性病変や、好酸球性副鼻腔炎の鑑別には生検が有効です。また、鼻腔や鼻汁の細菌培養検査は抗菌薬の選択に役立ちます。また、アレルギー性鼻炎を原因として発症することもあるため、採血などでアレルギーに関連した検査も行います。
蓄膿症の症状
鼻腔および副鼻腔粘膜が腫れます。悪化すると鼻茸と呼ばれるポリープも生じます。そして空気の通り道が狭くなり、鼻閉となります。慢性炎症ですので黄色で粘りのある鼻汁が出ます。鼻汁は喉にたれ込む後鼻漏となり咳嗽の原因になります。
目、頬、前頭部周辺の重い感じや嗅覚障害もおきます。特に好酸球性副鼻腔炎では嗅覚障害が初発症状の事も多く、注意が必要です。
東洋医学による蓄膿症に対する認識
蓄膿症は中医学では鼻淵と呼びます。鼻から濁涕(濁った鼻汁)がしみ出るように多量に流出して止まらないことを主要な特徴とする鼻疾患です。本病は常に頭痛、鼻閉、嗅覚低下を伴い、長期化すると虚証のめまいが止まらなくなります。鼻科でよくみられ、多発する疾患のひとつです。
本病は実証と虚証に分けられ、実証は発病が急で、病程は短いのが特徴です。肺経風熱、肺経風熱、脾胃湿熱の証に分けられます。
虚証は病程が長く、細々と続いて難治であるものです。肺気虚寒、脾気虚弱に分けられます。
本病の発症率は高く、仕事や学業に影響を及ぼし、酷い場合には重篤な併発症を引き起こして望ましくない結果を招くことがあるため、積極的に予防、治療を行う必要があります。
下記ではそれぞれの証の特徴や症状を紹介していきます。
肺経風熱
肺は皮を主り、鼻に開竅します。風熱邪毒が表を襲って肺を侵犯したり、風寒が侵襲して鬱して熱に変化したりすると、風熱が肺経を雍遏するために肺の清粛功能が失調してしまいます。その結果、邪毒が経をまわって上部を犯し、鼻竅に粘滞して副鼻腔の粘膜を焼灼し発症すると考えます。
【症状】
涕(鼻汁)は黄色または白色で、粘り気があって量が多い。鼻道上方から流れ出し、間欠的または継続的に鼻閉となる。嗅覚が低下し、鼻内粘膜が発赤腫脹し、眉間や頬部に叩打痛や圧痛がある。全身症状としては発熱悪寒、頭痛、胸悶、咳嗽、痰が多い。
胆腑鬱熱
胞は剛臓であり、内では相火に寄記しており、胆の気は脳に通じます。感情が抑うつしたり、志、怒が過ぎたりすると、胆は疏泄が出来なくなり気が鬱して火へと変化します。胆水が経をまわって上部を侵犯すると、熱が脳へ移り、損傷が副鼻腔に波及して気血を燔灼すると、粘膜を焼いて腐敗させ熱が津液へ移ると鼻汁となります。また邪熱が胆を犯したために胆経の熱が盛んになり、上って脳を蒸して津に迫ると、鼻汁となって滲出してしまいます。
【症状】
涕は黄濁で膿のように粘調で、量が多く、鼻腔上方から流れ出し、臭気があり嗅覚が低下する。
鼻粘膜が腫脹し、特に発赤が顕著である。激烈な頭痛があり、眉間及び頬部に明らかな叩打痛・圧迫痛がある。
全身症状としては発熱を併発し、口苦、咽乾、目眩、耳鳴、耳聾、睡眠不足で夢が多い、急躁で怒りやすい。
脾胃湿熱
脾と胃は表裏関係にあり、胃脈は鼻の傍を循行します。普段から酒を多飲したり油濃いもの、甘いものを好んで食べていると湿熱が内生し、それが鬱すると脾胃を困窮させてしまいます。そのために湿熱邪毒が経絡を循行して上部を蒸し、副鼻腔内に停滞して集まると副鼻腔内の粘膜を焼灼して損傷します。
【症状】
涕は黄濁して量が多く、鼻腔上方から流出する。ひどい鼻塞が続いて嗅覚が消失する。鼻腔内は発赤腫脹し、さらに脹痛があと、特に腫脹が顕著となる。全身症状としては眩暈、頭重、酷い頭痛があり、全身がだるく、脘脇脹悶、食欲不振。
肺気虚寒
長患いのために身体が弱くなっていたり、病後の栄養失調などといった原因により、肺臓が虚損して肺気が不足していると、衛陽が虚弱となって邪毒に犯されやすくなります。さらに正気が虚しているために清粛作用が行えないと、邪毒が滞留しやすくなります。
邪毒が上り、鼻竅に鬱結して副鼻腔に到達すると、粘膜を蝕んで損傷し発症に至ります。
【症状】
涕は白く粘り、鼻塞は重い場合や軽い場合がある。
嗅覚が低下し、鼻内粘膜は淡紅色に腫れ、鼻甲介は肥大する。風・冷などの刺激により鼻塞や流涕が悪化する。全身症状としては頭痛、脳脹、全身が寒く四肢が冷える。気短、乏力、咳嗽して痰が出る。
脾気虚弱
飲食の不摂生、過度の労倦、思慮による鬱結などのために気血の精微の化生が不足すると、清陽が昇らなくなり、鼻竅は気血による栄養を失ってしまいます。邪毒により長期間困窮させられると、粘膜が腐敗して濁った鼻汁が分泌されるようになり、鼻淵となります。
また脾虚により湿を生じて湿濁が上部に氾濫し、鼻竅に鬱結して副鼻腔に浸潤すると粘膜を腐蝕して発症に至ります。
【症状】
涕は白く濃く粘り気がある。または黄色く濃い。量は多く無臭。鼻閉の症状が重く、嗅覚が低下し鼻内粘膜は淡紅色または紅色で腫脹がひどい。全身症状としては四肢がだるくて脱力感があり、食は少なく腹脹する。便溏。
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